行くぜ、東北。JOURNAL
No.011 2019.12.24
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その歴史は200年以上。街の一大イベント、仙台初売り

正月恒例イベントの一つである初売り。福袋や抽選会など、一年を幸先よくスタートするための企画が全国各地で行われているが、仙台は他の地域とは一線を画した盛り上がり方で知られる。いったいどんな初売りなのか。歴史的な背景とともにリサーチしてみる。

行列、演舞、お振る舞い。朝からお祭りのような賑やかさ
早朝から並ぶ人に向け、甘酒やホットドリンクなどでおもてなしをする
仙台初売りがはじまる1月2日。市内中心部の商店街や百貨店、大型商業施設などには、福袋を求めて早朝から買い物客が集結する。商店街では、和太鼓や獅子舞といったパフォーマンス、甘酒のお振る舞いなども行われ、正月らしい和やかなムードに包まれる。まさに地域一丸となって仙台初売りを盛り上げるのだ。
商店街では演舞や和太鼓演奏なども行われ、新年の幕開けをにぎやかに祝う
仙台初売りの代表格。豪華景品が入った茶箱
仙台商人の心意気あふれる井ヶ田の茶箱。一番乗りを目指して並ぶ徹夜組や、県外からやってくる人の姿も
仙台初売りでとりわけ有名なのが、大きな茶箱を付けた初売りを行う「お茶の井ヶ田(いげた)」。同社では昭和10年からこの茶箱を景品として導入しており、現在はお茶と一緒に家電製品などの豪華な景品が入っている。この初売りの光景は仙台っ子にとってはおなじみとなり、これまでに多くのメディアで度々取り上げられてきた。
豪華商品から変わり種まで! 地元百貨店の福袋
毎年争奪戦が繰り広げられる「藤崎」の福袋販売の風景
仙台の老舗百貨店「藤崎」では、毎年1月2日の開店前から長蛇の列ができる。衣料品、化粧品など人気ブランドの福袋だけでなく、東北の伝統工芸品やプロスポーツ選手との記念撮影、イタリアの高級スポーツカーといった仙台商人の心意気を見せる驚愕の内容にも注目が集まる。2019年は約3万個の福袋が飛ぶように売れたという。2020年は同百貨店の創業200周年を記念した、特別な福袋を予定しているとのこと。
過去には、フェラーリの福袋も登場
全高3.4mの搭乗型ロボットを1日レンタルできるというユニークなものもあった
古い文献にも登場。200年以上の歴史を持つ「仙台初売り」
仙台初売りの歴史は古く、江戸時代後期に発行された「仙台年中行事」という書物に「2日朝早くから店の格子戸を叩いて初売り初買い…」といった記述が残されている。実はそれ以前から、仙台初売りの原型となる催しがあったようで、仙台藩一円に伝播する一方で、藩の商圏拡大に伴い藩外にも広く知られるようになったと考えられる。
200年以上の時を経た今もなお、仙台市内の商店街や百貨店などにその伝統は受け継がれ、国内最大規模を誇る初売りとして、多くの人に知られる存在となった。
なぜ1月2日開催に?
仙台初売りはなぜ1月2日に開催されるのか? 仙台初売りに関するWebサイト「仙台初売りドット混む」を運営する仙台商工会議所によると、日本では昔から1月2日を事始め(ことはじめ)といい、初夢や書き初めなど、初めてのことを行うのに縁起のよい吉日とする考えがあった。また「元日の掃除は福を掃き出してしまうから年末に大掃除を済ませる。元日の買物はお金を掃き出してしまうから1年の浪費につながる」という古くからの言い伝えが仙台にあり、元日に事を始めることに抵抗があったという話もある。

近年になり、大型商業施設の進出に伴って元日初売りを推し進める意見が出るようになり、商工会議所や地域の商店街らによって仙台初売りの在り方についての議論が年々重ねられてきた。その結果、仙台初売りは単なるセールではなく、歴史的・伝統的な生活習慣の中で育まれてきた希少な地域伝統商業文化であることを尊重すると決定。仙台商工会議所の「仙台初売りをよりよくする検討会」では、仙台初売りは正月2日に一斉に盛大に実施するという方針を掲げ、仙台初売りという伝統を守り、さらに盛り上げられる活動を働きかけている。
伝統行事だからゆえ。豪華景品も特例扱い
令和最初の初売りはどんな盛り上がりを見せるのか、期待せずにはいられない。
価格以上の商品が詰まった福袋や割増商品券など、その豪華さも仙台初売りの魅力だ。通常、豪華な景品や特典をつける販売方法は「景品表示法」という法律で規制されている。しかし仙台初売りに限っては「歴史ある商習慣に基づくもの」との理由で、国の機関である公正取引委員会からも特例扱いされている。
新しい一年への期待を込めて、消費者も販売者も意気揚々と臨む仙台初売り。令和になって初となる2020年の仙台初売りは、より一層熱が入りそうだ。

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