行くぜ、東北。JOURNAL
No.004 2019.10.28
食べる

喜多方市民のパワーの源!生活に溶け込んだ朝ラー文化

朝の7時、8時といった開店間もない時間からラーメンを食べる習慣がある福島県喜多方市。そもそもは農作業や早朝に草野球を終えた市民、夜勤明けの勤め人に提供したのが始まりといわれる。この通称「朝ラー」も喜多方ラーメンのブームとともに知られるようになり、現在は約20店が実施。喜多方を代表する文化となっている。

小さい町に120軒ものラーメン店がひしめく
基本は醤油味だが、味噌味や塩味など味は千差万別
※ 会津盆地の気候と風土に育まれ、守られてきた伝統の味
人口約4万7千人の街に120店舗ほどのラーメン店が軒を連ねる喜多方。「東北の蔵の里」とも呼ばれ、市内には約4,000棟の蔵が並ぶ。昔から醸造業も盛んだったため蔵元との繋がりが深く、ラーメンのスープに使われる醤油などを店独自の味で細かくオーダーできた。これが各店の個性へと繋がったとの説もある。麺は太めの縮れ麺。昔はかん水の麺を使っていたところも多かったが、今では多加水麺を使用している店も多い。定番の醤油味を中心に塩味、味噌味もあり、ベースも豚骨、煮干し、鶏ガラなど多種多様。さらに、トッピングの具材にまで店主のこだわりが詰まっている。味や香りが店により異なるので、何度も足を運んでみて自分好みの一杯を見つけることも楽しみの一つだ。
※ もちもちツルッとした食感が特徴の多加水麺。スープともよく絡む
早朝くにお袋が作る弁当
ここから50年にわたる「朝ラー」文化が始まった
※ 喜多方市役所にほど近い、屈指の人気店「坂内食堂」
老舗「坂内食堂」が朝ラーを始めたのは、先代のご両親が店を営んでいた時のこと。子どもたちのために朝早くお弁当を厨房で作っていると、店の明かりがついているのを見たお客さんから、「朝もやっているのか?」という問い合わせが来た。「朝もラーメンを食べたい」というお客さんの要望があり提供し始めたところ、当時は他に早朝営業している飲食店も少なかったため、だんだんと知れ渡り地元の人たちに利用されるようになった。ラーメン店同士も喜多方を盛り上げていこうと一致団結。農作業や早朝に野球の練習を終えた市民、仕事前の会社員、3交代の夜勤明けの人などに向けて朝ラーを提供し始めたという。
※ 7時の開店と同時に長蛇の列。土日などは1~2時間待ちになることも
※ 老若男女問わず愛され、通い詰めるファンも多い
※ 湯気が立ちのぼる朝の活気あふれる店内
※ チャーシューたっぷりの名物「肉そば」(1,000円・税込)。常連客は朝でもペロリと平らげてしまう
朝ラーを始めて50年近くになる「坂内食堂」。先代から受け継がれる「支那そば」(700円・税込)と「肉そば」(1,000円・税込)は、スタート当時から変わらない朝の定番メニューだ。ほど良い脂のあるバラ肉を使った自家製チャーシューは、特製の醤油でじっくり煮込み肉の旨味をしっかり閉じ込める。厚みもあり、ボリューム満点。透き通った塩味の豚骨スープはあっさりなのにコクがあり、この味を求めて通い続ける常連客も多い。
※ 柔らかくなるまでじっくり煮込んだ自慢のチャーシューをカットする社長の坂内章一さん
※ とろけるような柔らかさのチャーシュー。旨味がほど良くスープに溶け出す
喜多方を離れてもふと恋しくなる
常連客にとって特別な一杯
※ 喜多方を離れた後も、朝ラーを楽しみに喜多方に通う高橋さん
学生時代、喜多方の高校に通っていたという高橋さん。部活や学校帰りにラーメンを食べに通い始めて、社会人になり引っ越した後も朝ラーを食べに月数回は通っているのだとか。「先代の頃から通っているから、もう生活の一部みたいだね」と高橋さん。
※ 「朝に食べるラーメンが一番おいしい」と斎藤さん
「いつも注文するのは決まって「支那そば」の大盛り。これに、ネギをたっぷり、油を濃いめに注文するのが私流の楽しみ方なんです」と斎藤さん。休みの日や仕事前の時間に訪れては朝ラーを楽しんでいるそう。清々しい朝の空気とともに食すラーメンは絶品なのだとか。
※ 麺をさっと茹で上げ、チャーシュー・ネギ・メンマなどの具材を盛り付ける
地元の人をはじめ観光客にも人気
広まり、愛され続ける朝ラー
始めは地元の人を中心に定着した朝ラーも、次第にそのおいしさとファストフード感覚の気軽さが広まり、福島県内に留まらず、全国的にも有名になった。現在は約20店舗が実施。朝ラーの提供時間を狙って車で来る人や、前日に近辺で飲んで朝帰りする人など、今や観光客にも浸透。中には1日に複数の店をハシゴする人など、地元人たちのみならず、多くの人たちに愛されている。

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